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四季折々に思うこと Ⅱ-20

踏花舎 倉橋みどり

「キュウリ」 イラスト・榎森彰子

夏の季語に「冷や素麺(そうめん)」がある。
よく読むと「そうめんだけでは季語になりません」
と書いてあり、深くうなづいた。

奈良では、一年中、熱々のおだしでさっと煮た「にゅうめん」をよく食べる。
「インスタントにゅうめん」が売っているし、会席や定食ににゅうめんがつくことも多い。
故郷の山口では一度も食べたことがなかった「にゅうめん」が、奈良に来て、大好きになった。

特にお味噌汁にさっとそうめんを入れるのがおいしい。
茗荷でも刻んでたっぷり散らせば、おかわりしたくなる。
今日のランチにもそうめんが出てきて、同席した知人は、
「うちは昔から、そうめん入れるんは、ナスとカボチャの
お味噌汁」と言い、もうひとりの知人は
「素揚げの野菜も合うわね」という。
それぞれの家の味があるのだろう。

三輪そうめんの産地、山の辺の道や古墳で有名な桜井あたりに行くと、極細のもの、野菜などを練り込んだ
カラフルなそうめんに加え、「そうめんのふし」が売られている。
そうめんを干す工程で竿にかける、U字型の部分で、地方によっては「ばち」とも呼ぶ。
これが袋にざばっと入って、数百円。そうめんよりは少しだけコシが強い気がする。
これもお汁の具にはちょうどいい。お土産にももちろんおすすめだ。

冷やそうめん氷の音とともに来る  みどり


            

倉橋みどり

奈良に暮らし、奈良をこよなく愛するフリー編集者・文筆家。著書に『奈良の朝歩き、宵遊び』など。奈良の歴史・文化を編集発信するNPO法人文化創造アルカ理事長。武庫川女子大学非常勤講師。奈良女子大学なら学研究センター協力研究員。俳歴33年の俳人でもあり、NHK文化センターほかの講師、俳人協会幹事を務める。