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四季折々に思うこと Ⅱ-36

踏花舎 倉橋みどり

星空 
イラスト・榎森彰子

コロナ禍で、オンライン講座を行ったり、受けたりする機会が増えた。
いや、去年の年頭には、どちらかといえばパソコンが苦手な私も、「俳句鑑賞講座」や仏師さんと一緒に社寺を訪ねる「奈良こころ旅」、自分でも「奈良と芭蕉」などの講座を企画した。
オンラインの強みは、自分のいるところから遠く離れていても興味のある講座やイベントにアクセスできること。交通費もかからない。
子育てや介護などで長い時間家を空けにくい人には特に便利だ。

先日、ある会社の依頼で、会員向けオンライン講座の企画と案内役を務めた。夜の手向山八幡宮の拝殿に上がらせていただき、宮司さまのお話をたっぷりとうかがうことができた。
講座時間は夜7時からの1時間半。8時になると、すぐ近くにある東大寺の鐘の音が聞こえてきて、全国の参加者へと届いた。
そして、講座のしめくくりに、宮司さまに合わせ、参加者一同でご本殿にお参りさせていただいた。お会いしたことのない、パソコンの向こうに座っている方々と心を合わせ、二礼二拍手一礼をした。
そして、冷え込んだ境内にいながら講座の間じゅうほんのりと背中が暖かかった。
そのことを宮司さまに告げると、「神様のお力は日が暮れて明けるまで、つまり夜がもっとも強まると言われているんですよ」と教えてくださった。




見上げれば無言で瞬く冬の星 みどり


            

倉橋みどり

奈良に暮らし、奈良をこよなく愛するフリー編集者・文筆家。著書に『奈良の朝歩き、宵遊び』など。奈良の歴史・文化を編集発信するNPO法人文化創造アルカ理事長。武庫川女子大学非常勤講師。奈良女子大学なら学研究センター協力研究員。俳歴33年の俳人でもあり、NHK文化センターほかの講師、俳人協会幹事を務める。