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四季折々に思うこと Ⅱ-35

踏花舎 倉橋みどり

「ツリバナマユミ」 イラスト・榎森彰子



初めての大和三山登山へトライした雨の日曜日。
耳成山を登り終え、香具山を目指す。

無料駐車場から田んぼを両側に従えた道のつきあたりから山裾が始まる。
時計を見ると朝8時半。草刈り作業に勤しんでおられる中を頭を下げつつ、思ったより険しい道を辿る。
が、耳成山よりも短い10分ほどであっけなく山頂に。
雨は上がったが、道はぐずぐずで靴は泥だらけ。

案内板には、私が歩いたのは北麓で、別の南麓ルートには天岩戸神社、月の誕生石などがあると書いてあるが、今日は三山を制覇することがミッションだ、と言い聞かせ、畝傍山へ。
橿原神宮の北参道の途中に「登山口」の看板が出ていて、わかりやすい。
三山の中では最も歩きがいがあり、片道30分。
すれ違う人はみんなマスクをしていて、息が上がってもなかなかマスクを外すことができないのがしんどかった。
山頂には「三密を避けて」だの「マスクをつけましょう」だの見慣れてしまった言葉が並ぶ真新しい看板があった。

下山し、車に乗り込んだ時点で朝10時45分。
三山トータルで約2時間、移動時間を入れても3時間少々。
知人に得意顔で報告すると、「移動に車を使うなんて邪道よ。山と山の間をゆっくり歩くのが楽しいのに」と呆れられた。
そうか、今度はお天気のよい日を見計らって、三山の間も歩いてみようと思っている。



身に入(し)むや大和三山おのおのに みどり


            

倉橋みどり

奈良に暮らし、奈良をこよなく愛するフリー編集者・文筆家。著書に『奈良の朝歩き、宵遊び』など。奈良の歴史・文化を編集発信するNPO法人文化創造アルカ理事長。武庫川女子大学非常勤講師。奈良女子大学なら学研究センター協力研究員。俳歴33年の俳人でもあり、NHK文化センターほかの講師、俳人協会幹事を務める。