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四季折々に思うこと Ⅱ-23

踏花舎 倉橋みどり

「柿紅葉」 イラスト・榎森彰子

今年の紅葉はどんな具合か、気になる頃になった。
奈良の紅葉は、京都のようにどこまでも赤一色でないところが多い。そこが好きだ。
春日奥山、奈良公園、西ノ京あたり……
どこもカエデの赤に、雑木林の黄色茶色が混じっていて、お互いを引き立てるのだ。

奈良市内の紅葉は、11月に入ると、桜紅葉に始まり、正倉院の手前の大仏池や東大寺西大門跡の見事な銀杏の黄葉、高畑や飛火野のナンキンハゼの紅葉、やがて、12月に入る頃からカエデの紅葉が見頃になる。

私が、ガイドをしている入江泰吉旧居(奈良大和路を撮り続けた写真家の家・東大寺となり)から見える紅葉も、実に美しい。
庭に沿って流れる吉城川(よしきがわ)のおかげだろう、ほかの場所で「今年の紅葉は色がもうひとつ……」と言われる年でも、ここの紅葉は当たりはずれが少ない。
まだまだ知られていないので、ゆっくりと眺めることができるのもいい。

奈良市の中心部から少し離れるが、正暦寺の紅葉も好き。
こちらは山全体が黄金と赤と緑との交ぜ織りのようになる。
紅葉の時期は、JR奈良駅・近鉄奈良駅から臨時バスも出るので、車を運転しない人でもお参りしやすくなる。
今年の夏は、暑く長かった。紅葉の頃がことのほか、待ち遠しい。


逢ひにゆく道で見つけし初紅葉   みどり


            

倉橋みどり

奈良に暮らし、奈良をこよなく愛するフリー編集者・文筆家。著書に『奈良の朝歩き、宵遊び』など。奈良の歴史・文化を編集発信するNPO法人文化創造アルカ理事長。武庫川女子大学非常勤講師。奈良女子大学なら学研究センター協力研究員。俳歴33年の俳人でもあり、NHK文化センターほかの講師、俳人協会幹事を務める。