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第53回 駒形の銘菓くず桜

フォトライター 八木洋行

駒形通りを久々に散策した。途中、駒形神社を参拝。
ここは、名馬「磨墨」の足跡をうつす馬蹄石をご神宝とすると伝わる。
社殿の賽銭箱越しに中を見たが、それらしき石は無い。

それからまた、日陰を探しながら西へ向かって歩く。
銭湯「桜湯」の前に、お客らしき人たちが3人開くのを待っている。
聞けば、午後2時から暖簾が掛かり、あと10分ほど待てば湯船に身を沈めることができるという。
一番湯にこだわる常連たちだった。

その「桜湯」の目の前にある、昭和2年創業の和菓子の店「駒形桃園」を覗く。
夏の2ヵ月だけ店に顔見世する「くず桜」は、本葛でこし餡を包む、今どき珍しい本格的な夏菓子だ。

葛粉の塊を水で溶き、砂糖を加えて直火で加熱してゆく。やがて糊状になる。粘り具合を見て火を止める。
さあ、糊状になった葛を手にとって伸ばし、こし餡をのせる。これは熱い、実に熱い。
しかしそこを耐え、こし餡をのっけたら、すぐにハマグリの形に包むのだ。
このハマグリの形に包むのが桃園の伝統。
包み終えたらこれを蒸す。蒸し終えると透明な葛の皮に包まれるこし餡が透けて見える。
本物の葛粉でないと、このような透明感は出ない。
いまは残念ながら生の桜葉にのせることができないので、やむなくビニールを桜葉の形にくり抜いたもので
対応している。

現在3代目橋本勲一さん(昭和33年生まれ)と、妹の知子さんの二人で暖簾を守っている。
「常温で食べていただきたいんです。もし、どうしても少し冷たくして食べたい場合には、冷蔵庫で30分ほど冷やして召し上がるといいのですが、それ以上冷やすと、この透明感は無くなるんですよ」と妹さん。
「夏の菓子はみな火を通すので、和菓子屋の夏は酷暑ですよ」と三代目。

駿府にはいい和菓子屋が無いという声を聴くが、いやいや、そうでもないじゃんと言いたい。
ただ、せっかく駒形通りに店を出しているのだから、「名馬磨墨」という菓子を、ぜひに作っていただきたい
ものだ。

駒形桃園

住 所:静岡市葵区駒形通3丁目1-18
電 話:054-252-2381
時 間:10時~19時
定休日:火曜日
くず桜 180円