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第51回 海産乾物ヤマキ

フォトライター 八木洋行

令和元年の社会人大学が始まった。
浜松教室の帰り道に、必ず寄る
「海産乾物ヤマキ」がある。
店は、板屋町の角にあり、大きな「ヤマキ」の
カタカナ文字が目に入る。

戦後、浜松駅前のここ板屋町と旭町にかけて、「中通り問屋街」と呼ばれる繊維問屋が細い路地に軒を並べていた。
全盛期の昭和30年代には、メリヤスや浴衣生地、下着、ジャージ、ジャンパーなどを卸売りする店が60軒ほどあったという。


「海産乾物ヤマキ」も、戦後すぐに繊維問屋街の入り口に創業した。
創業者の鈴木喜六さん(大正5年生まれ)は、もともとこの板屋町の生まれで、戦火にあった浜松にいち早く、日持ちがよくて海の物をと、海産乾物卸を始めたのだった。

ヤマキに、「パンツ屋のおばちゃん」と呼ばれた女性の行商人たちがよくやってきた。
繊維問屋で主にメリヤスの下着を仕入れては、遠州の山間部を行商した女性たちだ。
その「パンツ屋のおばちゃん」と山間部の村人から呼ばれた彼女たちは、メリヤスの下着だけでなく、
山間の暮らしに必要な日用品や海産物も、注文を受けては運んだ。
ヤマキはその「パンツ屋のおばちゃん」たちにとっては、パンツを仕入れたすぐ横で、
海産乾物も仕入れることができるのだから、便利だった。

しかし、駅前の区画整理事業が始まると、繊維問屋の多くは海浜近くにできた卸商センターに移転し、
やがて「パンツ屋のおばちゃん」たちも姿を消した。
だが、「海産乾物ヤマキ」は健在だ。
今年97才になる創業者鈴木喜六の妻、田鶴さんと、娘の康代さんが暖簾を守っている。

私は、浜納豆・ウナギの白焼き・シソ巻・板海苔などをよく購入する。
とりわけクルミ味噌を青紫蘇の葉で巻くシソ巻は、酒のつまみにピッタリなのでいつも5串は買うのだが、
今日は売り切れだった。残念。

海産乾物ヤマキ

住 所:浜松市中区板屋町635
電 話:053-452-1945
時 間:9時~18時30分
定休日:日曜・祝日