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第69回 ベトナムコーヒーのポカラ

フォトライター 八木洋行

コーヒー豆の生産地はトップがブラジルで、これにベトナム、コロンビアが続く。
日本ではまだ世界第2位の生産地がベトナムだと知っている人は少ないのでは…。
しかも、ベトナムのコーヒー豆を使っている喫茶店もあまり聞かない。

しかし、焼津市文化センター前で輸入雑貨と喫茶店を合わせた「ポカラ」に行けば、ベトナムコーヒーが飲めるのだ。
民家を改装した店は、欄間もあり襖もありで面白い。
一番奥の部屋に座ると、インドのガネーシャという象の頭をした神様が鎮座する。

インド音楽を聴きながらゆったりと待つ。
やがて、チュングエンという、確かにベトナムの現地で飲まれている独特な香りのする豆を使ったアイスコーヒーが出てきた。
オーナーの服部善朗さん(昭和30年生まれ)によると、ベトナムは暑い国だからほとんどアイスコーヒーで飲む。
しかも、フランスが統治していた当時はコーヒーに練乳を入れて飲むのが普通だったので、このチュングエン豆は甘い練乳に負けない香りを主張するのだとか。
どうも二次焙煎のときにバターのような油脂を加えるらしい。その加減で独特な香りが出るようだ。

わたしは30年前にホーチミンを旅し、このベトナムコーヒーを体験して病みつきになった。
ところが、なかなか日本で飲ませてくれる店がない。
だから、わたしにとってポカラは、唯一この病みつきを治癒してくれる場所なのであります。

実は、このオーナーとは「雑酔」という居酒屋で出会った30年来の友人で、6年前に自宅を改装して始めたと聞き喜んだ。
両親と叔母の介護に明け暮れた20年、10年前にやっと解放されたが鬱になり、ひとり旅に出た。
はじめ東北の陸中海岸の町を巡るが焦燥感は癒えない。
その足で成田からインドへと飛んだ。2度目のインドだったという。
このときネパールにも旅し、湖畔の町ポカラで不思議と生きてゆこうという力が湧き始めた。
店の名にポカラとつけたのもそういうことだったらしい。

輸入雑貨は1年に1度、インド・タイ・ベトナムという彼が足で旅して見つけたものを遠慮がちに並べている。
インドのチャイと、このベトナムコーヒが売りだ。
どうか、コロナ禍でぺちゃんこにならないことを祈りたい。



ポカラ

住 所:焼津市三ケ名1539-2
電 話:054-628-6477
営 業:9時30分~18時
定休日:月曜日