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第68回 佐野商店

フォトライター 八木洋行

いまや絶滅危惧種となった駄菓子と文房具をひさぐ「佐野商店」を、コロナ禍の日曜日に訪ねた。
清水区押切は高部小学校バス停のすぐ近く、店先の大きなライオンの絵が目印だ。
ここは佐野つとむ事務局長の生家で、5人兄妹の末っ子、悌子さん(昭和22年生まれ)が家を継いだ。
色白の悌子さんと夫の鏞三さん(昭和20年生まれ)が笑顔で迎えてくれた。

店に入る。右手に文房具、左半分には懐かしい駄菓子が棚いっぱい並んでいる。
箱入りピースを思わせる「ココアシガレット」は、大人を真似たい子供の心理をくすぐるモドキ菓子だ。
「ソースうまかつ」は擬態駄菓子の元祖。
トンカツがちゃぶ台にのっかるなどほぼなかった時代、駄菓子がそのよだれ夢を叶えた。
紙芝居の駄賃菓子として「元祖梅ジャム」を薄いせんべいに挟んで食べた思い出を持つのは、安倍川以東の子供たちだ。
安倍川を挟んで紙芝居の縄張りが分断されおり、関西にこの梅ジャムは無かったからだ。
「日本一きびだんご」は全国区の人気菓子。
「タラタラしてんじゃねーよ エスニック風味激辛味」は近年のもの。子供の駄菓子にも激辛時代が到来している。

10分ほどしたら、兄妹らしい子供がやってきた。小さな買い物かごにポイポイと入れてゆく。
女の子は合計180円。大きな白い財布から千円札を出してお勘定だ。お釣りもしっかり数えている。
男の子の方は250円か。ポケットからジャラジャラと硬貨を出してお勘定だ。
だいたい100円から200円の範囲で買ってゆくという。
迷いに迷う子もいれば、スポーツをやっている子は一点爆買いをやるという。

悌子さんの母、ひでさんが嫁に来た頃は酒・味噌・醤油などの日用品を扱う雑貨屋(ヨロズ屋)で、夕方になると酒を飲ませるいわゆる角打ちをやっていた。だが、ひでさんは呑ん兵衛の相手が嫌だった。
そこへ駄菓子販売のセールスがやってきた。すかさず駄菓子に乗り換えた。

昭和55年に創業70周年記念の鉛筆を配った。すると今年で創業110年目だ。
21歳で家を継ぐことになり、以来ずっと佐野商店を守ってきた悌子さんは、今も朝6時に店を開く。
学校に通う子供が文房具を求めるからだという。

 

 

 

 

佐野商店

住 所:静岡市清水区押切1171-11
電 話:054-345-4765
営 業:6時~19時
定休日:無休