topics トピックスTOPICS

第67回 明徳寺門前名物 焼き草餅

フォトライター 八木洋行

伊豆は天城峠の手前、伊豆市市山に便所の神様を祀る金龍山明徳寺がある。
南北朝時代末の明徳年間、利山忠益禅師の創建になる曹洞宗の古刹という。

山門をくぐると右手に「うすさま明王堂」があり、その裏手に東司の守護神「烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)」が祀られている。
烏枢沙摩明王は不浄を炎で浄化する法力があるという。
まず「おまたぎ」と呼ぶ和式トイレを跨ぎ、男根状の木像物を「おさすり」して拝む。すると下半身の病や、下の世話にもならずぽっくりゆけるそうだ。
境内ではお札とパンツを売っている。

さて、この明徳寺門前下の駐車場の真向かいに、名物草餅をひさぐ茶店がある。
なんでも大型バスでやって来る参拝客を見て、近所のお母さんたちが何か名物を…と始めたのが昭和59年だった。
最初はヨモギ餅を串団子にして販売。しかし、団子を串に刺す手間が大変で、甘すぎない餡をヨモギ餅で包む草餅に変更。
これが人気で売れに売れ、食堂部もつくりソバやご飯ものも出した。
ところがバブルがはじけると参拝客が激減し食堂部は閉鎖。
草餅は人気で遠くからわざわざ買いに来てくれるが経営は向上しない。もう止めるしかない。

そこに長年勤めた会社を定年退職した土屋信一さん(昭和25年生まれ)が手をあげた。
最初からのメンバーの奥さんと2人で経営者となり、近所のお母さんたちにも手伝ってもらい継続することにした。
9年前のことだ。

ヨモギは春になるとお母さんたちみんなで採取して集め、ひと茹でして冷凍保存している。
もち米は新潟の「ひねのもち」を主に使う。餡は北海道十勝産の小豆。
ただ、餅つき機を導入した。手杵で搗いていては長続きしないと判断した。

とにかく、明徳寺へ参拝して「おまたぎ」と「おさすり」を済ませたら、ここの焼き草餅だ。
焦げ味とヨモギの風味が絶妙だ。のし餅の磯辺焼きも唸るほど美味い。
またぞろ超高齢社会の日本になったのだから、参拝客が増えると思うのだが…。
そういうわたしも数年先には後期高齢者に入る。
これからは月参りに来よう。参拝したらぜったい焼き草餅だ。

 

 

明徳観光センター

住 所:伊豆市市山274-3
電 話:0558-85-0855
営 業:8時(餅は9時頃から)~16時
定休日:金曜日