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第57回 勘平屋の飴玉

フォトライター 八木洋行

伊豆半島は西海岸の先端近くに、妻良という江戸時代には風待ち港として栄えた小さな港町がある。
当時妻良には船宿が30軒ほどあり、「さつまや」という船宿には西郷隆盛が泊まったという。
この妻良港のすぐ近くに、第20回全国菓子大博覧会で金賞に輝いた飴玉を作る「勘平屋商店」がある。

飴玉は〈べっ甲飴〉〈ニッキ飴〉〈黒飴〉「和の星」と呼ぶ〈大豆入り飴〉の4種類がある。
「和の星」は、3代目の佐藤武司さん(昭和32年生まれ)が命名したもので、 5年前に他界した親友の名前を冠せたのだという。
〈大豆入り飴〉は、舌の上で 回しながら舐めているとポロっと豆が外 れ、その瞬間が面白い。
〈ニッキ飴〉は、 水飴と砂糖をゆっくりと煮て、火を止めてからニッキの香料を添加。
これを熱いうちに細長く伸ばしてチョンチョンチョ ンと切り、親指でちょいと押す。
碁石を指でへこませた感じで、微妙に1個1個形が違い、手作り感のある飴だ。
へこんだ部分に舌をあて、上あごに押しつけながら舐めると、ニッキの味が上あごの形にそって広がる。

菓子屋は祖父の代からという。
「勘平屋の屋号は?」と聞くと、菓子屋を始めた祖父は鷹次郎で父は善吉、どうして勘平屋という屋号になったかわからないという。
もしかして、初代鷹次郎が歌舞伎好きで、『仮名手本忠臣蔵』の「おかる勘平」からとったのだろうか…
と、勝手に想像してしまった。
妻良港には、旅する歌舞伎の一座も寄港したというから、あながち違っているとは言い切れないと思うのだが。
7時30分の開店は、 沖漁船に乗る男たちが買ってゆくからだ という。

勘平屋商店

住 所:賀茂郡南伊豆町妻良543
電 話:0558-67-0055
時 間:7時30分~18時
どれも1袋280円