topics トピックスTOPICS

544 黒船来航の舞台下田に、文明開化の味がする

遊覧船「黒船サスケハナ」

6月中旬に訪ねた下田港は閑散としていた。
湾内を巡航する遊覧船黒船も運休。
アジサイで有名な下田公園の駐車場も閉鎖。
街中もほとんど観光客はいない。「まだ県外から来ないでね」という看板があるのだから仕方がない。
しかし、そんな下田の街中で「ロロ黒船」という和菓子屋だけが元気だ。亜米利加焼・ペリーロード・黒船来航最中・松陰・開国キャラメルなどなど、下田港の歴史を彷彿とさせるネーミングの菓子が並んでいる。

そもそも下田とペリーの関わりは……嘉永7年1月、江戸湾にペリー提督率いるアメリカ艦隊黒船が乗り込む。
あたふたした江戸幕府は、押し切られた形でアメリカと「日米和親条約」を締結。条約は下田港と箱館港を開港すると約束。
すると、すぐさまペリー率いるアメリカ艦隊は下田港に入港。
しかも約70日間もの間停泊し、乗組員は下田の街を自由に闊歩した。
このとき下田に建設中だった反射炉の工事現場を水兵に見られてしまい、韮山に移転したという経緯もある。
その後、横浜が開港されるまで、下田にはアメリカの領事館が置かれ、アメリカと日本をつなぐ江戸に一番近い港だった。

したがって、ペリーと黒船を題材にご当地菓子を創作するのは当然といえば当然。
だが、こういうケースは大抵ネーミング負けしているのだが、ロロ黒船の、下田の歴史からネーミングされた菓子は、けっしてネーミング負けしていない。レベルが高く美味しい。

3代目山田勧さん(昭和47年生まれ)は、父親がロロ黒船と店名を改め、次々と黒船にまつわるネーミング菓子を創案。
「わたしはそれをさらに進化させている」と自信をもって語る。
それは、月ごとの和菓子をきっちり作り、その技と味覚センスをベースに、和と洋が折衷した菓子をつくる、というコンセプトを持っているからだろう。

7年前に勧さんが創作した〈開国キャラメル〉を今回取りあげた。
最中の皮でキャラメルを包む、まさに和洋折衷菓子だ。最中の皮とキャラメルが意外になじむ。






御菓子司 ロロ黒船 
下田市2丁目2-37

文・写真 八木洋行